2018年12月22日土曜日

駒形友梨さんの1stAlbumが、統一感のある名盤だった話。

予想だにせず、名盤に出会いました。


結論から言えば、サウンド・曲調、コンセプトや歌詞、そして歌声、どの点をとっても、統一感のある素晴らしいアルバムと言えると思います。

2018年1番の名盤と言っても過言ではないかなと。



●まえがき
きっかけは愛聴している鷲崎さんのラジオ(ヨルナイト)でした。
駒形さんの事は番組に初主演した昨年?から知ってはいたのですが、番組のメインは真綾さんのカバーを歌うコーナー。
BGMとしては良かったですし、毎回聴いていましたが、アーティストしては特に惹かれることもなく…(ラジオ好きとして、だれ?らじは面白いので聞いていましたが)

そんな中、アルバム発売のタイミングということで、久々のマンスリーゲストとして登場。
レコ初という事でしたが、案の定?ラジオのメインはカバーで、宣伝のはずがアルバム曲は解説も無しのたった1コーラス、、
とここで終わるはずだった訳ですが、この曲も、そして翌週以降に紹介された3曲も、どれもすごく好みのいい曲で。
結果としてその1コーラスというところに焦らされたのもあり(笑)、わざわざCDを予約し、発売日にきっちり、受け取りに行っていました。
1曲もCDで聞いた事も、またライブで見た事も無いのに、ここまで期待していたのは我ながら珍しいなと思います。
実際、すっかり気に入ってしまいました(笑)

さて、今日はそんな経緯で出会った1枚について、興味を持ってくださる方が1人でも増えるといいなと思い、筆ならぬキーボードを取る?ことにしました。


●サウンド
普段、声優さんの曲を聴くことが多い私ですが、jujuさんのポップス寄りの曲(ifとか)、aikoさんの失恋系・落ち着いた曲調の曲(アンドロメダとか)、或いはUnchainとか、jamiroquaiとか、インストとかを聴きたくなることがまあまああります。
というのも、歌としては女性のポップスが好きなのですが、曲調としてミディアムテンポで、拍が単調でなく(シャッフルや後ろノリ、裏拍にアクセント、シンコペーションなどなど)、シンプルでおしゃれな感じ?のサウンド(keyが中心でベースドラムが大きめ・ギターはカッティングやアルペジオが多め)が好きなのかなと思います。
水樹奈々ちゃんだとアンビバレンスとか、エゴアイディールとかみたいなやつで、J-popの中で大人な、或いはjazzyなサウンドの曲という感じでしょうか。
楽器をやっていた頃は、この辺りをまとめておしゃれポップとか読んでいた気がしますね。(単純に演奏する際に洒落たコードやフレーズが多いからとか、そんな感じの理由だったかな?と思います。)

そんな曲を求めて色々聞いてきましたが、私が聴いてきた限りでは、声優さんの曲でこういう曲にはあまり出会うことができず。
あったとしても、せいぜいalbumに1,2曲あれば多いかな、という印象で。
やはりリズム的にアップテンポなものが多いですし、ミディアムテンポやバラードを歌われる方でも、素直な拍のものが多い印象です。

そんな中、ストライクゾーンにズバッと入ってきたのがこのCDでした。
このアルバムは、シンプルな構成のサウンドで、どの曲を聴いてもタメや裏拍にアクセントが使われていて、おしゃれで大人なサウンドでアルバム全体の統一感があるのがすごく良いなと。
例えばクロックワイズ。



いわゆるシャッフルのリズムで、何とも癖になる曲です。
(個人的にこのテンポの8ビートのハネがめちゃくちゃ好きです…)
また、MVでは1番で終わりますが、1番のサビとラストのサビで、詞のはめ込み方が違うのは非常に聴きどころです。
ラストでは、ワード数を減らしリズム的に注意を引きつけつつ、「わたしだけ」というフレーズに空白感を持たせて、直後、逆に畳み掛けるように紡がれる「あなたが可哀想で」という感情が外に漏れてしまったニュアンスの詞は、表現をすごく表現を際立てているなという感じで、、、(堪えていたものが溢れてしまったかのような歌もすごく素敵です。)

またそれ以外の曲についても、
  • It's HEAVEN、ソノヒ
    →前者はハイハットやカッティング・歌のアクセントが裏拍に、後者はトライアングルやハイハットの刻みが8分の裏で鳴っていて、裏拍を強く意識させるアクセントが入っています。
  • 時の葉、starting in the haze
    →テンポがゆったりなのもありますが、タメるように歌っている(発声〜音が消えるまでのボリュームのピークが、発声から少し時間が立った位置に置かれている印象。
  • Talk2night
    →この曲はクロックワイズと同じシャッフルかつ、イントロなどでのシンコペーションでのキメが印象的です。
  • メイズ
    →この曲はテンポが早いので仲間はずれとも取れますが、キメや歌の最高音・アクセントが2拍目に置かれていたりします。クロックワイズのサビとかも同じですね。ところどころに3連符が差し込まれたり、更には曲の展開が読めなかったり、というようなまさにmazeな面白さも。
という感じで、曲自体と駒形さんの歌い方によって、どの曲もいい意味でひと癖ある仕上がりになっているように思います。
また、そういった統一感がある一方で、単に似たような曲を並べたとかではなく、1曲1曲の曲のトーンは違っていて、聴いている側を飽きさせない多様性もあり、アルバムとしてすごく完成度が高いなと。

ちなみに、サウンド的にはシングルのカップリングのLonely Blue…もアルバムのニュアンスに近いですね、、、シンコペーションが心地よい。



●コンセプト・歌詞について
このアルバム、前述した通りサウンド的な良さもあるのですが、それに加えて並んでいる曲の歌詞も、1曲目の時点で未来が霧に閉ざされ、その後に、迷い・失恋・片思い・別離…と、テーマがかなり一貫していて。
駒形さん自身、日常感のある距離感の近い曲が好きとラジオで仰っていましたが、まさに誰しもが経験している、うまくいくことばかりではない、日常で陽の射していない曇った一時を描いたようなそんな印象です。
こう書くと勘違いが起きそうですが、上で書いた通り、サウンド的には重厚というよりは比較的軽めのサウンドになっていますし、重いサウンドの曲が並んでいるアルバムという訳ではなく。
むしろ、歌詞としては曇りを描きつつも、アルバムの後ろに行くほど前向きなニュアンスが強くなっていくような印象です。

今回のアルバムは、プロデューサーの方が曲を集めてくれて、こういう曲好き?と色々聴いて下さって決めていったというところからも、駒形さんのいわゆる好きな音楽を集めた、いわゆる駒形友梨のCOREということのようです。
では駒形友梨のCOREとは何か、ですが、駒形さん自身がラジオで仰っていた、比較的性格が暗いというところとか、サスペンスや殺伐とした物語の本をよく読むとか、そういった日常が、このアルバムの要素になっているのかなと、勝手に思っていたりしています。
決して良い悪いの話ではなく、暗い部分というのは日常で誰しもが抱えているものですが、そういう部分を丁寧に感じ取り、自らの声で描写・表現するのが上手だなと。
ちなみに私も駒形さんと同じA型で、(血液型は統計的でしかないですが)シンパシーを感じるというか、ラジオを聴いたり歌詞を読んだりしていても、物事の捉え方や感覚に共感できるところが多かったりします。

さて何故こんな話をしたかというと、日常のキラキラした面を映したり、バッチリとポーズを取っているような瞬間を映したりするアーティストさんも少なくない中で、これが私だと、しかもそれをセールス的にも先の分からない1枚目のアルバムで放り込んできたというのが、中々素敵だな思ったということです。
というのも、やはり商圏として大きいのは、アイドル的な売り方?だったり、アニメを題材にしたユニットの曲だったり、明るいサウンドやキラキラした部分、或いは歌詞のいわゆるエモさ、みたいな感じの曲だと思っていて。
そういう意味で、サウンドとしてもコンセプトとしても1stAlbumでそこから外れ、挙句の果てにそれがデビューシングルの曲すら入れない全曲新曲で、じっくり聴いてもらわないと評価してもらえないようなアルバムを出してきたのは、何とも素晴らしくて拍手だなと。
この点、今の年齢感やご本人の性格が、まさに良い方向に作用しているなとも。
結果として、初動2500という、今の時代では大成功な数字を叩き出したのがすごいですよね、、いやはや。


●歌について
曲が曲な為、リズムやアクセント的に歌いこなすのが難しく、シンプルな分、歌唱力も求められるこのラインナップを歌える、というのはすごいなと思います。
そして、すごく曲にマッチした歌声だなとも。
駒形さんの歌を一言で言うならば、優しさを感じる、まろやかで、曲に綺麗に溶ける歌という感じでしょうか。
AメロやBメロで使われるような口元のニュアンスとか息の使い方は、聴いていて心地いいニュアンスが多いなと思います。
また、高音域も、綺麗に抜ける感じがすごく好きなのですが、それでいてトゲトゲしさや荒さがない綺麗な声で。

このアルバム、実はVocalDirectionに結城アイラさんが入っていらっしゃいます。
ご存知の方もいらっしゃると思いますが、私も個人的にすごく好きなアーティストさんで、独特の声の柔らかさというのか優しさというのかを持っていらっしゃる歌がとても魅力的で。
癒されたい時とか、お昼寝の時間帯とかに聴いていたりします(ちなみにSwearとか星が永遠を照らしてるとかが好きですね…。)

その結城アイラさんの持つ独特の口元のまろやかなニュアンスを、駒形さんの歌の中に感じることがあり、これも上述のまろやかという言葉選びの所以だったりします。
特にIt's HEAVENの2番Bメロのとかソノヒの歌い出しは特に、まさにあの素敵なニュアンスだ…!となっていました。
(ソノヒとかは歌詞を書かれているのもあったので、ディレクションがあったのかなと思いましたが、リリイベでお聴きした限りでは、ご本人のプランで基本的にokだったそうで。)
そんな点も含めると尚更、シンガーとしてのタイプとしても近いと思いますし、ディレクションをしてもらうという点において、非常に良い組み合わせではないかなと思います。

本当、日常的に繰り返し聴いてしまうんですよね、このアルバム…
色々なアーティストさんのCDを聴いていて、いわゆる名曲だ!というような曲は、この1年の間でも何曲かあったりしたのですが、純粋に頭から終わりまで通して聴きたくなるようなアルバムはなんか久々に出会ったような気もしています。


●最後に
(いつも通りですが)長文失礼いたしました。
また、こんな文書を最後までお読みいただきありがとうございました。
配信とかレンタルとか、どのような形でも良いので、よろしければぜひ一度聴いていただけると良いかなと。
(CD貸して欲しい方がいらっしゃればお気軽にどうぞ、お貸ししますw




●おまけ
さて、これは完全に余談ですが、1点だけ惜しかったのはこのアルバムが基本的に打ち込みのサウンド、というところです。正直なところ、音楽のジャンルや曲のところで話しましたが、生音・生のプレイヤーで映えるような曲も多いので、それこそドラムで言えば佐野康夫さんとかがいれば珠玉の1枚と言えたんじゃないかなと。
とはいえ、これが1stAlbumで、今後のセールスの見込みもよく分からないと考えれば、十二分に丁寧に作れたアルバムなんじゃないかなと思います。(今回サウンドプロデューサーの方がほとんど1人で編曲されていますが、その辺りも統一感という意味ですごくいい方向に現れてますし。)
こうなると2枚目はどうなるんだ?というのも気になりますね…w

まずはこのAlbumで作るライブ、楽しみに待とうと思います。
生バンドで見られると良いな…

(また、色々とお話しに付き合ってくださる方がいらっしゃれば、是非下記までReplyいただければと思います!)